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神経班

てんかん、発達障害、筋疾患、中枢神経系感染症、先天異常による中枢神経障害等々非常に幅広い疾患を対象として診療しています。

我々のグループは橋本清先生(現・小児科名誉教授)が1969年に小児科に「神経外来」を開設されたことを創業として40有余年の歴史と伝統があります。とくに本学全病院小児科で総数4000人超にも上るてんかん患児の診療には定評があります。橋本先生は1998年日本小児神経学会第40回総会の大会長を務められました。その後藤野修先生と藤田武久先生が中心となられ藤野先生は2010年日本小児神経学会第52回関東地方会会長を務められました。現在は現役最年長の川上康彦(多摩永山病院)が中心となり、診療・教育・研究活動を行っています。日本医科大学は日本小児神経・日本てんかん両学会の専門医研修施設認定を受けており、小児科専門医取得後、両方の専門医を取得出来るよう指導します。研究はてんかんの基礎・臨床研究を得意としますが他分野も盛んです。学外の施設との共同研究交流も活発です。

現在の主な研究

  1. 小児期のけいれん性疾患の臨床的検討、特に長期予後・社会学的検討
  2. SPECTによる脳血流の解析
  3. 各種中枢神経疾患の脳脊髄液のサイトカインおよび酸化ストレスマーカーの分析
  4. 光弾性法を用いた新生児・乳児の姿勢の客観的分析
  5. 発達障害児の臨床的検討、特に有効な治療介入について
  6. てんかんモデル動物を用いた病態解析と新たな治療法の開発

代表的研究成果

各研究班の数多くの研究発表の中から、代表的なものを解説付きで掲載しています。

  1. 小泉慎也。不安障害を呈する自閉症スペクトラム症例について、第111回日本小児精神神経学会 (2014年6月)
    臨床的に遭遇する可能性の高い本疾患の自験例の治療介入について検討した。全例で臨床心理士の介入があり、その他薬物療法、認知行動療法、ソーシャルスキルトレーニングが行われた。個々の症例に対する個別的かつ柔軟な対応が必要であることを示した。
  2. 岡崎哲也、川上康彦、藤田武久、藤野修、伊藤保彦。中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん(BECCT)における dipole spikes と発作回数の検討、第56回日本小児神経学会(2014年5月)
    小児てんかんの代表的タイプであるBECCTの脳波所見で、中心側頭部の陰性波と前頭部の陽性波すなわち位相逆転(dipole spikes:DS)を認めた症例の長期経過を観察した。初回脳波でDSを認めた症例と初回脳波で認めず経過中にDSが出現した症例を比較すると治癒までの総発作回数が後者の方が有意に少なかった。
  3. 馬場亜沙美、川上康彦、斉藤賢一、桑原健太郎、藤田武久、藤野修。Edaravone 投与が EL マウスの脳波に及ぼす影響、第55回日本小児神経学会(2013年5月)
    てんかん発症の誘因として、SOD 活性および還元型グルタチオン活性 (GSH)の低下、一酸化窒素合成酵素(NOS)の産生亢進など、脳内酸化ストレスとの密接な関連性が報告されている。本研究ではてんかんモデル動物である EL マウスにフリーラジカル消去剤である edaravone を投与することにより脳波所見と臨床発作の改善を認めた。
  4. Kawakami Y, Saito K, Baba A, Koizumi S, Kuwabara K, Fujita T, Fujino O. Measures to Counteract Oseltamivir Phosphate-Induced Changes in Electroencephalograms of Epilepsy-Prone El Mice. Epilepsy & Seizure Vol.5:20-27,2012
    てんかんモデルマウスに、インフルエンザ治療薬であるオセルタミビル(商品名タミフル)を投与するとてんかんが増悪するが、抗けいれん薬を同時投与することによって、この現象を抑制できることを脳波学的に検証した研究論文
  5. 川上康彦、斉藤賢一、村島善也、小泉慎也、桑原健太郎、藤田武久、藤野修、福永慶隆。リン酸オセルタミビルによる、てんかんモデル動物の聴性脳幹反応の変化、第1報・第51回日本小児神経学会(2009年5月)第2報・第52回日本小児神経学会(2010年5月)第3報・第54回日本小児神経学会(2012年5月)
    てんかんモデルマウスに、インフルエンザ治療薬であるオセルタミビル(商品名タミフル)を投与すると聴性脳幹反応(ABR)潜時が短縮することを第1報で、ドパミン受容体拮抗剤であるハロペリドールを併用するとこの現象が抑制されることを第2報で、以上の所見はドパミンニューロンが関与する現象であることを免疫組織化学的に確認したことを第3報でそれぞれ報告した。
  6. Kawakami Y, Tsukimoto M, Kuwabara K, Fujita T, Fujino O, Kojima S, Fukunaga Y. TNF-α-induced mononuclear cell death may contribute to polymorphonuclear cell predominance in the cerebrospinal fluid of patients with bacterial meningitis. J Nippon Med Sch Vol. 78:360-366,2011
    細菌性髄膜炎急性期における脳脊髄中細胞数が多核球優位性を発現する機序は、白血球が血液脳関門を越えて中枢神経系内に流入の際、接着因子の作用で選択を受けるという仮説が有力であるがこの説に否定的臨床研究もある。急性期に脳脊髄液中に著明に増加する腫瘍壊死因子-α(TNF-α)の作用で単核球は高率に細胞死(アポトーシス)し、多核球は残存することを示した本研究の所見は多核球優位の機序のひとつになり得ると考えられた。
  7. Koizumi S, Saito K, Murashima YL, Kawakami Y. Theophyllline-induced changes in mouse electroencephalograms. Brain Dev Vol.32:818-820,2010 
    けいれん素因を有さない純系のマウスに、喘息治療薬テオフィリンを経口投与することでけいれん発作を誘発することを脳波学的に検証した研究論文。臨床的に問題となっている乳幼児の「テオフィリン関連けいれん」のモデル実験系の確立に成功した。