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循環器班

循環器班先天性心疾患、川崎病の診断・治療を行っている。冠循環評価を積極的に行い、川崎病後遺症の冠動脈障害に対するカテーテル治療や外科と協力して冠動脈バイパス術も積極的に行っている。基礎研究においても、生理学的、分子生物学的、免疫組織学的、細胞生理学的な解析を行うことができ、さまざまな研究を行っている。

さらに、平成28年7月に東京ドームホテルにて第52回小児循環器学会学術集会を小川教授が主催することとなり、班員一丸となり研究に励んでいる。

現在の主な研究

臨床研究

  1. 各種疾患・病態における血行動態的な臓器相関の究明
  2. 川崎病の急性期における各種バイオマーカーを用いた重症度評価
  3. 川崎病後の冠動脈障害に対する流体力学を主とする冠循環動態の評価と治療の確立
  4. 各種心筋疾患における微小冠循環動態
  5. マルチバイオメーカーによる心不全の評価

基礎研究 

  1. 流体力学的変動に伴う血管内皮細胞、血管平滑筋細胞の形態学的、生理学的、生化学的評価
  2. 川崎病モデルマウスを用いた、川崎病発症機序の解明
  3. 血管炎後の石灰化、動脈硬化の発症機序の解明
  4. パッチクランプ法を用いた各種疾患・病態における微小電気生理学的検討

代表的研究成果とその内容

各研究班の数多くの研究発表の中から、代表的なものを解説付きで掲載しています。

  1. Fukazawa R, Ogawa S, et al.: Nationwide Survey of Patients with Giant Aneurysm Caused by Kawasaki Disease in Recent 10 Years: Analysis of Myocardial Infarction and Cardiac Death. American Heart Association Scientific Session, Dallas, USA, 2013
    最近10年間における川崎病巨大冠動脈瘤の全国調査の結果を発表した。巨大冠動脈瘤を持った症例は心筋梗塞や突然死のリスクがあるが、それらの大きな心事故は川崎病発症後2年以内にほとんど起こっていることが判明した。川崎病急性期治療の重要性が改めて確認された。
  2. Kobayashi T, Saji T, Otani T, Takeuchi K, Nakamura T, Arakawa H, Kato T, Hara T, Hamaoka K, Ogawa S, Miura M, Nomura Y, Fuse S, Ichida F, Seki M, Fukazawa R, Ogawa C, Furuno K, Tokunaga H, Takatsuki S, Hara S, Morikawa A, investigators Rsg.: Efficacy of immunoglobulin plus prednisolone for prevention of coronary artery abnormalities in severe kawasaki disease (RAISE study): A randomised, open-label, blinded-endpoints trial. Lancet. 379:1613-1620, 2012
    重症川崎病の急性期治療におけるステロイド療法の適否をRandomised, Open-Label, Blinded-Endpoints Trialとして行った、日本初の小児の臨床のランダム化比較試験である。重症川崎病においては初期治療にステロイドを併用すると、有意に冠動脈後遺症を抑制されることが明らかになった。
  3. Ohashi R, Fukazawa R, Watanabe M, Tajima H, Miura NN, OhnoN, Tsuchiya S, Fukuda Y, Ogawa S, Itoh Y.: Etanercept suppresses arteritis in a murine model of Kawasaki disease: A comparative study involving different biological agents. Int J Vasc Med 2013:10, 2013
    川崎病モデルマウスを用いた、血管炎に対する種々の薬剤の治療反応性の検討。川崎病治療薬として用いられている、免疫グロブリン、ステロイド、シクロスポリンはある程度の血管炎抑制効果を認めるが、TNFα受容体拮抗剤のエタネルセプトはほぼ完全に血管炎を抑制することが証明された。
  4. Ohkubo T, Fukazawa R, Ikegami E, Ogawa S.: Reduced shear stress and disturbed flow may lead to coronary aneurysm and thrombus formations. Pediatr Int. 49:1-7, 2007
    Coronary flow wireおよびCoronary pressure wireを用いて小児の冠動脈と川崎病冠動脈瘤内の血流状態を評価した。左冠動脈分岐部と冠動脈瘤内では平均血流速の低下と、Shear stressの低下が認められた。血行動態の変化が冠動脈瘤の形成と冠動脈瘤内血栓形成に関与していることが示唆された。
  5. Fukazawa R.: Long-term prognosis of kawasaki disease: Increased cardiovascular risk? Curr Opin Pediatr. 22:587-592 2010
    川崎病が最初に報告されて40年以上たつが、重篤な炎症を経た冠動脈が長期的にどのようになるのかはまだ不明である。近年特に話題になるのは、川崎病は早期動脈硬化発症の危険因子となるのかというものである。現在までに報告されている川崎病の長期予後を示唆する論文を総括した。
  6. Fukazawa R, Ikegam E, Watanabe M, Hajikano M, Kamisago M, Katsube Y, Yamauchi H, Ochi M, Ogawa S.: Coronary artery aneurysm induced by kawasaki disease in children show features typical senescence. Circ J. 71:709-715, 2007
    小児の川崎病巨大冠動脈瘤を組織学的、生化学的に評価した。巨大冠動脈瘤では、血管内皮は再生しているもののeNOSなど血管機能性蛋白の発現は低下いる一方、VCAM-1, MCP-1などが上昇、Senescence-associated strong β-galactosidase活性も上昇し、典型的な組織の加齢変化を呈していた。