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アレルギー班

アレルギ―性鼻炎、気管支喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の根本的な診断と治療にかかわる検査:血液検査、呼吸機能検査、皮膚テスト(プリックテスト)、経口食物負荷試験(1泊2日)、食物+運動負荷試験も積極的に行っている。基礎研究においても、免疫的、分子生物学的、細胞生理学的にアレルギー疾患の様々な研究を行っている。

臨床研究

  1. 気管支喘息のphenotypeに関するバイオマーカー
  2. 食物アレルギーのコンポーネントの解析
  3. 食物アレルギーと喘息と鼻炎の合併率
  4. アレルギー性鼻炎と気管支喘息のバイオマーカー

基礎研究

  1. 鼻ポリープの合併における上皮細胞とマスト細胞の相互作用
  2. アレルギー性鼻炎と気管支喘息における上皮細胞のbarrier機能とサイトカインの解析
  3. アレルギー発症に関与する腸内細菌叢とリスクファクター

代表的研究成果

各研究班の数多くの研究発表の中から、代表的なものを解説付きで掲載しています。

  1. Allen KJ, Turner PJ, Pawankar R, et al. Precautionary labelling of foods for allergen content: are we ready for a global framework? World Allergy Organ J. 2014; 7(1):10.
    食物アレルギーは、世界的に増加しており、食物アレルギーの重症度と複雑さも高まっているが、世界の大部分の地域では、食品成分表示に関する法規制が整っていない。この論文は、世界的な食品表示の現在の状況と将来的なアクションプランについて解析し報告している。
  2. Canonica GW, Cox,L, Pawankar R et al. Sublingual immunotherapy: World Allergy Organization position paper 2013 update. World Allergy Organ J. 2014; 28;7(1):6.
    アレルギー性鼻炎と喘息は年々増加しているが、根本的な治療法としてアレルゲン免疫療法がある。アレルゲン免疫療法とは、アレルギー疾患の病因アレルゲンを投与していくことにより、アレルゲンに曝露された場合に引き起こされる関連症状を緩和する治療法である。アレルゲン免疫療法の施行法としては、注射による皮下免疫療法と舌下免疫療法が標準的である。この論文は、国際アレルギー学会が作成した舌下免疫療法のガイドラインである。
  3. Suzaki H, Watanabe S, Ruby Pawankar. Rhinosinusitis and asthma-microbiome and new perspectives. Curr Opin Allergy Clin Immunol. 2013;13(1):45-9.
    この論文では、副鼻腔炎と気管支喘息に関与しているマイクロバイオームについて詳細な解説を行っている。
  4. Mori S, Pawankar R et al. Expression and Roles of MMP-2, MMP-9, MMP-13, TIMP-1, and TIMP-2 in Allergic Nasal Mucosa. Allergy Asthma Immunol Res.2012;4(4):231-9.
    Matrix Metalloproteinase(MMP:中性エンドペプチターゼで、細胞外マトリックスのタンパクを融解する作用を有する)には現在20数種の報告があり、ゼラチナーゼ、コラゲナーゼ、ストロメライシン、膜型MMPの4タイプに分類される。喘息においてはMMPの関与が明らかにされているが、鼻アレルギーにおける粘膜肥厚や細胞浸潤の機序、リモデリングの有無への関与についてはまだ明らかでない。喘息のリモデリングに関与しているMMP9は鼻アレルギーではMMP2,13に比べ少なかった。このようなMMP2,9,13の発現の相違が、リモデリング発生の一つの要因である可能性が示唆された。
  5. Kimura S, Pawankar R et al. Increased expression and role of thymic stromal lymphopoietin in nasal polyposis. Allergy Asthma Immunol Res. 2011;3(3):b186-93.
    鼻ポリープは鼻・副鼻腔粘膜から生じる炎症性増殖性腫瘤であり、上気道の慢性炎症性疾患である。鼻ポリープ中の浸潤細胞の約6割を好酸球が占め、Th2タイプの炎症が強い。Thymic stromal lymphopoietin (TSLP:胸腺間質性 リンパ球新生因子 )は IL-7様のサイトカインであり、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアトピー性疾患において増加し、Th2炎症に関与することが推測されている。この論文では、TSLPが鼻ポリープにおける好酸球浸潤・Th2炎症に重要な役割を果たしていることについて詳細に説明している。
  6. Takizawa R, Pawankar R, et al. Increased expression of HLA-DR and CD86 in nasal epithelial cells in allergic rhinitics: antigen presentation to T cells and up-regulation by diesel exhaust particles. Clin Exp Allergy. 2007;37(3):420-33.
    アレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜上皮細胞ではHLA-DR と CD86が発現し抗原提示の役割を果たしていることを証明した。さらに、環境汚染であるDEP (diesel exhaust particles) がHLA-DR と CD86 の発現を増加させることを示した。
  7. Pawankar R et al. Nasal mast cells in perennial allergic rhinitics exhibit increased expression of the Fc epsilonRI, CD40L, IL-4, and IL-13, and can induce IgE synthesis in B cells. J Clin Invest. 1997;99(7):1492-9.
    アレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜マスト細胞がCD40L, IL-4, IL-13を発現し、B細胞によるIgE産生を誘導することを報告した。さらにアレルギー性鼻炎患者における鼻粘膜マスト細胞の親和性IgEレセプタ-発現は、非アレルギー性鼻炎のヒトの鼻粘膜マスト細胞より増加している。本論文での報告が、近年重症喘息に使われている抗IgE抗体の使用につながっている。